今回は、「ウェイキング・ライフ」「スクール・オブ・ロック」などの作品
を手掛けている、リチャード・リンクレイターについてご紹介します。
■ リチャード・リンクレイターの作品群
http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Cinema/9328/indie/linklate.html
IMDb | Richard Linklater
http://www.imdb.com/name/nm0000500/
リンクレイターの作品は、特殊なスタイルを持っているため、必ずしも万人に
受けるものではなく、日本では公開されてない作品もいくつかあります。
(「Slacker」「SubUrbia」など)
「Slacker」(1991)# 日本未公開
「バッド・チューニング」(1993)
「恋人までの距離<ディスタンス>」(1995)# ベルリン国際映画祭監督賞
「SubUrbia」(1991)# 日本未公開
「ニュートン・ボーイズ」(1998)
「ウェイキング・ライフ」(2001)# NY映画批評家協会最優秀アニメーション賞
「テープ」(2001)# ベネチア国際映画祭幻燈賞
「スクール・オブ・ロック」(2003)
「Before Sunset」(2004)
■ さまざまな表現スタイルと会話の妙
----------------------------------------------------------------------
「恋人までの距離<ディスタンス>」(1995)
http://www.geocities.com/Hollywood/Movie/6017/
イーサン・ホークとジュリー・デルピーの会話が延々と続く
「恋人までの距離<ディスタンス>」は、旅先で偶然出会った男女のウィーン
での一日を描いた作品ですが、ありがちなラブストーリーとはひと味違った
独特の作品に仕上がっています。
二人の会話はあまりに自然なので、一見即興的な会話のように感じますが、
そのセリフは、シナリオを忠実に再現していったものとのこと。
会話の内容は多岐に渡り、文学的、哲学的テーマから、二人の関係がしだいに
深まっていく様子がドキュメンタリーのように描かれています。
http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Cinema/9328/film/bs.html
こうした会話のおもしろさがリンクレイター作品の大きな魅力になっています。
セリフが多い分、日本語吹替版で見るのもひとつの楽しみ方かと。
# この作品の続編が最新作の「Before Sunset」(2004)
# http://wip.warnerbros.com/beforesunset/
# http://movie.nifty.com/cs/catalog/movie_677/catalog_B00109_1.htm
# 9年後のパリでの再会というお話。
----------------------------------------------------------------------
「ウェイキング・ライフ」(2001)
http://www.foxjapan.com/movies/wakinglife/
この作品の特筆すべき点は、やはりその映像手法かと思います。
実写映像をデジタル処理し、アニメーターのデジタル・ペインティングによって
加工されたアニメーション映像は、常に浮遊感を漂わせながら揺れ続け、
ある種の視覚的ドラッグ効果を生み出しています。
○製作過程のメイキング・ビデオ(4分)
http://www.foxjapan.com/movies/wakinglife/clips/
さらにストーリー性のない哲学的会話の洪水によって、観客は思考しながらも
ある種の夢の世界のようなトランス状態に身を委ねざるおえない感覚に
引き込まれていきます。
夢か現実か、生か死か、人間の存在とは、時間の意味とは、個人と社会
運命と自由意志の関係は、生まれかわりはあるのか、というような根源的な
疑問と仮説が登場人物の会話の中にランダムにコラージュされていきます。
○レビュー
http://www.foxjapan.com/movies/wakinglife/column/index_frames.html
「斬新な映像、マジカルで魅惑的な傑作」
ロジャー・エバート(シカゴ・サンタイムズ誌)
「革新的で知的、幻覚のような映像世界に酔え」
エンターテインメント・ウィークリー誌
# ベネチア国際映画祭 未来の映画賞、幻燈賞
# 全米映画批評家協会賞 最優秀実験的映画賞など受賞。
----------------------------------------------------------------------
「テープ」(2001)2003年7月国内劇場公開
http://www.mediasuits.co.jp/tape/
麻薬密売人、映画監督、女検事補の3人の男女の心理が複雑にからみあう
モーテルの一室を舞台にした密室会話劇。
久々の再会をした高校の同級生だった3人の間で、過去のある出来事について
の真実がしだいに明らかになっていく…。ミステリアスかつスリリングにその
プロセスが進行する、限定された密室でのワンシチュエーションドラマ。
こういった会話劇は脚本の良さと役者の演技に委ねられる感じがしますが、
その分、低予算でも制作が可能であり、リンクレイターのセリフの力と実験的
精神が存分に発揮された作品と言えます。
SONYのデジタルカメラPD-100PALで撮影され、Final Cut Proにより編集。
○予告編 http://www.mediasuits.co.jp/tape/trailer.html
----------------------------------------------------------------------
「スクール・オブ・ロック」(2003)
http://www.schoolofrock-movie.jp/
この作品の脚本は、本編にも役者として登場しているマイク・ホワイトの手
によるものなので、リンクレイターは職人監督として演出に徹しています。
主演のジャック・ブラックの怪演をうまくコントロールし演出することによって、
ひと味違った学園コメディに仕上げています。5ケ月に及ぶ子役のオーディション
とキャスティングがうまく機能した楽しめる作品。
----------------------------------------------------------------------
■ インディーズ魂としての実験的精神
このようにリンクレイターの作品は、さまざな表現スタイルと独自の実験的精神
が投入された独自のテイストを放っています。
ストーリー性の欠如、一貫性のない会話、とりとめのない展開は、
リンクレイターの個性でもあり、予定調和で仕上げるメジャー作品に対する
ある種のインディーズ作家としての挑戦状のようにも思えます。
ただ「ウェイキング・ライフ」で見せた、全く新しい映像スタイルや
「テープ」のような限定された状況で繰り広げられる心理描写や会話劇は
リンクレイターの映画作りに対するひとつのアイデアの提案でもあり、低予算
でもおもしろくて革新的な作品が創れる可能性を世界の映画界に提示している
ようにも思えます。
独創的で斬新な表現ほど、最初はなかなか理解されにくい傾向はありますが、
脚本家、映像作家としてのリンクレイターの実験はきっと今後も続いていく
ことでしょう。
----------------------------------------------------------------------
■ リチャード・リンクレイター関連サイト
----------------------------------------------------------------------
「ウェイキング・ライフ」(2001)
http://www.foxjapan.com/movies/wakinglife/
----------------------------------------------------------------------
「テープ」(2001)
http://www.mediasuits.co.jp/tape/
http://www.cinematopics.com/cinema/works/output2.php?oid=3322
----------------------------------------------------------------------
「スクール・オブ・ロック」(2003)
http://www.schoolofrock-movie.jp/
----------------------------------------------------------------------
「Before Sunset」(2004)
http://wip.warnerbros.com/beforesunset/
----------------------------------------------------------------------